じいちゃん、30年後の弟子への影響

井元工務店看板

10年前に他界した祖父は大工の棟梁でした。
その名も「井元工務店」

「井」の真ん中の四角の中に「元」を入れた斬新な(笑)ロゴマークを掲げて一代で財を成した尊敬すべき人であります。

小学生の頃から祖父に憧れていた僕は、クラスメイトに「これなぁに?」と言われながらも学習帳の表紙にでっかくこのロゴマークを書いては自慢げにしていました。

それからも憧れ過ぎて、井元デザイン工房のロゴマークを作成する際これを採用しようとします。
何パターンもデザイナーさんに作ってもらいましたが全然しっくりこずやめました(笑)

日雇い大工から独立した祖父は商売が大好きでその経営方針が独特だったとの事。
内容は割愛しますが、現在の井元デザイン工房を運営する上でほぼ丸々その方針を継承しています。

おかげさまでいろんなお客様と出会えお付き合いをさせて頂き、僕自身迷った時はこの方針を思い出し、祖父ならどうしたかを自分に問う時があります。
経営の神様は松下幸之助さんですが、僕の中の商売の神様は祖父であります。

今日はそんな祖父が現在に残した影響について書いてみようと思います。

祖父のお弟子さん

ある日、祖父の弟子だったという人が線香をあげに来てくださいました。
他界した事を最近人づてに聞いてわざわざ来てくれました。
その人もその後独立して今は工務店を経営しているとの事。

昔は家を建てるのに1年以上かかっていました。
途中で棟梁が体調を崩したりして家が完成しなかったら大変なので、祖父はお客さんに迷惑がかからぬよう早くに引退しました。
今から30年程前です。

そんな随分前にお世話になった人の線香をあげにきてくれるなんて。
今から30年前でしょ・・・自分に置き換えると小学校時代にお世話になった人・・・担任の先生か。
自分なら手を合わせに行くだろうか。(ちなみに先生はお元気でご存命でした、す、すみません・・・)
正直律儀な人だなぁと思いました。

お弟子さんへの影響

そこでこんなエピソードを聞かせてくれました。

ある時家を建てたい人が来たそうです。
いろいろ話をしている中で「井元栄一のところで働いていました」と言った途端、契約が決まったそうです。

お客曰く「井元の棟梁が建てた家はとても良いと聞いている。その弟子のあんたなら安心じゃ。任せる!」と。

それを聞いた祖母はとても嬉しそうでした。
祖母も若い頃は材木を担いで若い衆をまとめていたので(今もお婆さんとは思えない腕力です)もちろんそのお弟子さんの事も知っています。
弟子の成長とそのエピソードに本当に嬉しそうで、僕は言葉にない程祖父を誇りに思いました。

今の自分の仕事、そして引退後

さて、その晩考えました。

井元デザイン工房が手掛けた仕事は、僕の引退後誰かに影響を与える事が出来るのだろうか。

Webサイト等インターネット上の成果物はとても流れが速いから、数十年後も残っているかは分からないしその可能性は低い。もしかしたらWebデザイン以外のデザインなら残るかもしれない。

いずれにせよ、とてもその自信はないなと思いました。
あまりにも大き過ぎる。

でも、こうありたいという目標は持たねばと思う。

今僕には「弟子」はいないけれど、将来この工房で一緒に働いた人が独立して、誰かに「井元の仕事はとても良いと聞いている。そこで働いていたあんたなら安心じゃ。任せる!」と言ってもらえる・・・。
そんな日を目指そうと思いました。

それには、今の仕事を「一生懸命やる」
何よりそこだけは手を抜かぬよう努力していきたいと思います。

最後に

何だか終始自分の身内を持ち上げるような内容になってしまいましたが(笑)
でも誰しも家族の中に誇りに思う誰かがいるのではないかな。

将来への自分の力になる出来事だったので書いてみました。
これからも一生懸命努力あるのみ。

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