Webサイトが与える印象〜温泉旅館

私、温泉が好きです。露天風呂でゆっくり空を見上げながら湯に浸かると極楽です。そのゆったりとする時間がリフレッシュになっていいですよね。妻と年に1回行くと決めてそれを楽しみにしています。

去年は北海道。レンタカーで廻って温泉宿に泊まろうと3〜4ヵ月前からリサーチです。もちろんネット検索。そこで気付いた事がありました。

今回は「Webサイトが与える印象」についてです。

今回こだわりたかったのは、お風呂が温泉である事とホテルではなく旅館。あの旅館の和風な感じが落ち着いて好きなのです。料理は夜は外で食べ朝は早い出発の予定でしたのでどちらもなしです。

そして予算と料金を見ながら3件に絞り込みました。

A旅館

老舗のようで門構えからして高級そうです。サイトに使用されている写真は恐らくプロのカメラマンが撮影したものです。料理のページも美味しそうな写真がふんだんに掲載されています。

値段は、2食付けてこれならいいね！というくらいでしたが、希望は素泊まりでその場合だとさほどお得感を感じなかったので保留。料理にこだわるのでしたらここだったかもしれません。

B旅館

トップページのメインイメージからしてこれは間違いなく温泉押し！豊富な湯量の露天風呂の画像が大きく使用されていました。浴場紹介ページも充実していてとてもお風呂に力を入れているのが分かります。いろんな湯船があり湯の成分やら温泉の由来が書かれて興味をそそります。

ただ、部屋の詳細がやや不明。部屋の種類の割りには写真が少なく、何となくそこが不安で保留。

ここだ！N旅館

最後にN旅館。Webサイトは最近リニューアルしたようで情報整理がすっきりとされている印象。
特に写真に目を見張ります。決して高級ではないけど浴場は全面ガラス張りの岩風呂。部屋も明るく畳もきれいなこじんまりとした中に落ち着いた感じでとても気になりました。値段もB旅館よりちょっと安いくらい。よくある質問と回答は細かく書いてあり家族経営とある事からアットホームな雰囲気です。人によっては馴れ馴れしいのは苦手な人もいますが私はアットホームな感じは好きです。

ただひとつ気になったのは建物の外観。ビジネスホテルみたいな外観なのです。
旅館を希望していたので悩んだのですが、実際寝るのは部屋なわけで外観は関係ないか、と。それくらい部屋の写真が純和風で魅力的でしたし、もう行った気分になるようなサイトだったんですよね。ここにしよう！と予約しました。

いざ！N旅館へ

さあ着きました。外観はWebサイトで見たようにビジネスホテルみたいでロビーもそんな感じ。でもサイトで部屋の写真を見てきた私たち、早速鍵をもらって部屋へ上がります。

靴を脱いで襖を開けて唖然とします・・・！ふ、古い！めちゃくちゃ、古い！天井、襖、調度品まで年季が入りまくりです。畳なんかは歩くと数か所5cmくらい沈む始末。床板がないのか・・・！

ネットにつなげてもう一度サイトを見直しても、部屋のレイアウトは間違いない。近代デジタル技術の力、画像補正の技術を褒めれば良いのでしょうか・・・。

「たぶんお風呂は大丈夫だよ・・・」と落胆する妻に声を掛け大浴場へ行ってみますが、これまた輪をかけて古い！。岩風呂やタイル床は黒カビがすごいしこびりついた汚れが固まっています・・・。（私前職で清掃機器メーカーの営業をやっていて実は温泉施設の清掃にもよく立ち会っていたので落ちる汚れとハツらないと取れない石灰華は見たら分かります）清掃も定期的にしていないようです。

だまされた〜

今回のテーマ「Webサイトが与える印象」

普段制作している側もだまされるくらい与えた印象は強いものでしたが、今回の事には自社のサイトを有効活用するヒントが隠されていますね。

私たちは選びませんでしたが、宿に美味しい料理を求める人はA旅館、いいと思います。厳選した食材をはじめ料理のページが充実、山の幸海の幸と見ているだけでお腹いっぱいになりそう。

風呂が良ければ幸せ！という人はB旅館、いいと思います。広い眺望の大きな露天風呂がありお湯も源泉かけ流し。間違いないでしょう。

たまたまN旅館は嘘に塗り固められたWebサイトでしたが、サイトでは「構成、レイアウトデザイン次第でお客さんに強みをしっかりと伝える事が出来る」というのを再認識した出来事でした。

後日談

後で知ったのですが、私たちが泊まった約１ヶ月後、N旅館は閉館・廃業していました・・・。
一泊だけでしたら残念な旅行になっていましたが、幸いにも北海道では数か所温泉地に泊まってとても良い旅でしたので今となってはいい思い出話です。