あるフリーランスデザイナーへの未払い問題。
先日ネットで話題になっていて私もそのかたのブログを読んでいました。
引用してまとめますと、
ある企業から15万円の仕事を受注
↓
無事納品
↓
請求書を15万円で出す
↓
5万円にしてくれと言われる
というふうになぜか契約金額の3分の1にされちゃったというトラブルのようでした。
その後続編記事が出て無事満額払ってもらったようです。
「契約書を交わさなきゃだめだ」アドバイスへの違和感
こういうトラブルがあった場合よく「契約書を交わさなきゃだめだ」とか「内容証明送ってみ」「少額訴訟ってのがあるぞ」というアドバイスがネットにあふれるわけですが、ワタクシめちゃくちゃ違和感を感じるのですよ。
今回このかたは契約書を作成していなかったようですが、じゃあ、そもそもちゃんと契約書を交わしていたらこんなトラブルは起こらなかったのだろうか。
私が思うに否。
おそらく未払いは起こりうるべきして起こったでしょう。
記事を読んだかぎり「契約書を交わしたかどうか」はあまり関係ないと思うのよ。
今回はこのあたり思ったことを書こうと思います。
あ、別にこのかたをディスろうってわけではないのであしからず。気の毒だったなと思っています。
取引ってのはほとんど信頼関係
WEBやデザイン業界ではよくある未払い問題(本来そうあっちゃダメなんだけどね)。
そのたびに「契約書はちゃんと交わそう」と声が上がるわけですが、実はこの業界以外の中小BtoBの取引では、毎回わざわざ契約書作ってどうのこうのなんてあまりないです。
注文書(商品名と価格書いてメールやFAX)でやりとりするなんてザラだし、業界によっちゃ営業マンへの電話だけで注文完了、なんてこともある。
発注して納品完了したら納品書にサインもらって、経理に上がって月末請求、みたいなながれがほとんどです。
中小企業では数百万円単位の取引でもそんなものです。(実際私のリーマン時代はそうでした)
このフリーランスデザイナーのかたは知らなかったと思うので、こうゆってはなんですが、著作権絡まないのに十数万くらいでわざわざ契約書とかやってる業界のほうが少ないよ。
つまり、世の中ほとんど「信頼関係」で取引されているわけですよ。
「契約書」の役割
とはいえもちろん契約書は大事。不要だ、ということではないよ。
でも契約書の「役割」をはきちがえていると思うのですよ。
「トラブルになったときのため・・・」
「払ってくれなかったときのため・・・」
「いざというときの証拠として・・・」
とかトラブル対策で語られるでしょ。
もちろんトラブルのときに効力を発揮するかもしれないけど、はっきり言ってそれ違うから!
注文書や契約書とは
「一緒にやりましょう!」というお互いの気持ちの約束
です!
発注しましたよ→受注しましたよ→これから一緒にいい制作物を作り上げていきましょう!
それを確認し合うのが注文書・契約書です。
決して裁判だとか証拠だとかトラブルになったときの伝家の宝刀ではないのです。それは最終手段。そこまでいかないためのものです。
そもそも信頼関係がなさすぎる
「払わんのなら内容証明出すぞーあたしゃ本気だぞー」の時点で終わってる。
「内容証明送ればオケ!」「少額訴訟があるじゃないか」そこまでいってしまった時点で、もうすでにクライアントとの信頼関係は終わってしまっています。
そもそもクライアントとの間に信頼関係がないからそうなるのよ。
「初めての取引でそんな信頼関係なんて・・・」
それもわかる。最初っからそんな関係にはなかなかなれないかもね。
そんなときは前金をいただけばOK。
ここで渋るような会社なら契約するのをやめたほうがいいでしょう。
なぜ未払いになっているのか確認する、電話だぞ
でもこれだけやってももし未払いになってしまった場合はどうするか。
電話です。社長や担当者に「すみません、入金いただいてないですけど何かあったんですかねぇ?」と電話をすればいいのです。
ここまで信頼関係をもって一緒にやってきているわけだから、悪意ある未払いではないと思います。
だいたいが「あ!忘れとった!ごめん入れるわ」or「急に資金繰りが悪くなった・・・ごめんけどひと月待ってくれないか?」のどっちかでしょう。
経験上、メールより電話のほうがよし。お金に関することは電話のほうがしっかりちゃんとした話ができる気がする。あくまで私の経験ね。あとメールだと返信が遅かったらその間モヤモヤするし。
余談ですがアドバイスとして、ひと月待つときは「じゃあ、○月31日のご予定でいいですか?資金繰り大変でしょうけどがんばってくださいね」と日にちを決めてさらにねぎらいの言葉をかけてあげたら、金策に走りまくっている社長の気持ちがちょっとやすらぐと思いますよ。
結論
未払い問題は「契約書を交わしたかどうか」ではなく「契約書でお互いちゃんと約束したか」
つまり、契約までの段階で信頼関係をもって受発注すればトラブルは十分防ぐことができます。
おまけ:井元の場合
と、えらそうなことを書いてきましたが、ワタクシ井元でも未払いになったことがあります。
でもたいがいこうやってクライアントと話をしながらすすめるので、もめたことはありません。ちゃんと話し合って円満解決しています。
え?もしそれでも払ってもらえなかったらどうするかって?
即弁護士案件です。
あたしゃお客さんの制作にしっかりと時間使いたいから督促とかいちいちやっとられません。そのための顧問契約だからそんな不誠実なクライアントにゃ、速攻呉弁護士から連絡がいきます。
それと・・・。
残念だけど、こうなってしまった時点で、そのクライアントとの信頼関係は終わってるからね・・・。
P.S
このフリーランスデザイナーさんの記事を読みたいかたは井元まで。ここにリンクするとさらし者みたいになっちゃってかわいそうだったからww