中小零細企業のみなさん、SDGsに取り組んでいますか?
このワードが出始めた数年前(ふ~ん。これから世界はこういう目標を立てていくのかぁ。ま、でも中小零細企業にはかんけーないよねー)と完全にひとごとだった私。(よくわからんけど大企業は大変だねぇ)と鼻くそをほじっていましたが、いつのまにかあれよあれよと話題になり、会社の大小などまったく関係なく「みんなで目指す目標」になりました。
そして昨今、顧客の社長や担当者のみなさんからの相談が格段に増えてきた。
「井元さん、弊社のSDGsの取り組みをどうやって広報していけばいいかな?」
WEBサイトやSNS、パンフレットなどのツールを使い、世間のみなさんへ向けてどのように発信していくか。どのような広報活動が上手くいくか。みなさん悩まれて、私井元にアドバイスを求めていただいております。
ということで今回は、中小零細企業が「SDGsに取り組む」ってこういうこと、という内容を書きたいと思います。
ちなみに私は「エス・ディー・ジーズ」をずっと「エス・ディー・ジー・エス」と読んでいて顧客の社長に指摘されてはじめて間違いに気付きました。そんなレベルで中小企業におけるSDGsの取り組み方について偉そうに語っています。大変申し訳ございません。
社長のみなさん……悩む
私の顧客に大企業はいないのでそちらは専門外です。私のメインクライアントである中小零細企業、主に地方の企業に特化して書きます。
みなさんどうですか?正直何から手をつけたらいいのか「?」なのではないでしょうか。
たとえば「1.貧困をなくそう」と言われても、そりゃなくすべきとは思うけど、弊社の事業でどうやってなくすのか?「14.海の豊かさを守ろう」ならうちは工場排水をろ過しているから使えるのでは!?いや待て待て、そういう表現でいいのか?とか。
みなさん、悩む悩む……。
大手取引先の基準
SDGsに限らず、中小企業が基準を遵守する場合、だいたいが取引先である大手企業に準ずることが多い。工場であればISO認証を取得しているか、とか、HACCPをはじめ独自の食品衛生基準に達しているか、とか。取引先からそれぞれ基準を求められることが多いでしょう。
中小零細企業がSDGsに取り組むとは、これまでの一般的解釈からすれば、
「大手取引先からの指針を基に達成する」
ということになる。
下請けやメーカーに聞いてみた
ということで、ワタクシいろんな社長に話を聞いて回ってみました。
実は最近仕事で、中小企業を取材することが増えておりまして。毎月幅広い業種の社長からお話を聞いています(もはや、ウェブDAKE JA NAIテイジン)。
ひととおり取材も終わり雑談タイムになったとき、SDGsについて「御社ではなにかやっていますか?」「業界ではどうですか?」的なことを聞いて回りました。
その中から一番わかりやすかったのは、マツダの協力工場。「まだ明確な指針は出ていない」とのこと。「こうしなさい」と言われてないそうです。
参考までにマツダの関連ページを探してみました。
マツダ株式会社のSDGsの取り組み(マツダ株式会社)
1ページに簡単にまとまるくらいの、おおまかな内容です。今後細かく決まっていくのではないでしょうか。
ちなみにゆめタウンへ卸している食品メーカーの社長も同じことをおっしゃってみえました。
そう、SDGsが従来の基準と違うのは、大手企業のなかでもまだ模索中で明確でないこと、です。
じゃあまだまだ先の話か、と思いきや、SDGsは絶対に意識せざるをえない状況になっていて、今後は意識していない企業は取引自体危うくなるだろう、との見解でした。
選ばれるよう準備する
じゃあ、中小零細企業はどのように取り組んでいけばいいのか。私はこう思います。
これまでは大手企業側からの要請に応える形だったけど、SDGsは逆だと思う。
うちはこう取り組んでいるので採用して!、と協力会社から言ってくるのを「大手企業は待っている」と思ったほうがいい。そして他社と比較されたとき堂々と、うちはこうです、と言って選ばれるよう準備しておく。
中小零細企業にとってこれが大事かな、と思っています。
そうなるとSDGsに限らないわけですね。廃棄物の分別やペーパーレスでごみの削減といった身近なことはもちろん、
- 製造過程における排出物のリサイクル
- カーボンニュートラルなどCO2削減
- 地産地消の推進
- 印刷インクの原料を環境にやさしいもの
- 街の清掃
- 地域貢献
- 社会への還元
- 社員の健康管理
- 職場環境の改善
- etc
取材で聞いた項目をざっと挙げただけでもこれくらい。もうキリがないくらい。取り組むべきことはたくさんありますね。
SDGsはただのきっかけ。今後は法令遵守、コンプライアンスに対して、自ら取り組んでいくこと、が大事になります。取引先から言われたから、ではもう遅い。
それに加え、社会からの目も厳しくなっていくでしょう。
原料先を明確にする
昨年、ユニクロの製品が新疆ウイグル自治区の綿を使用している、と疑われ炎上しました。アパレルの原材料の調達から販売までのサプライチェーン、下請けの下請けの下請けの生産農家にまで言及して求められる時代になったことに、驚いた人もおられたと思う。
これは世界規模の話ですが、実は国内でも同じ。この製品はどういった労働環境で生産されたのか、どのような産地で誰が作ったものなのか。大手企業はサプライチェーンにすべてを求めていくでしょう。SDGsをきっかけに消費者が自分たちの生活用品に対し、そこまで気にし始めるようになったからです。
すると、取り組んでいない、または意識できていない中小企業とは取引できなくなる。今後は、
中小零細企業への信頼 → SDGsへの取り組み
が、ひとつの指針になるのでは、と思っています。
取引先へのPR
中小零細企業にとっての「SDGsに取り組む」は、
取引先へのPRのこと
大手取引先から選ばれるためにするためのもの
です。SDGsの17の大きな目標とそれらを達成するための169のターゲットにとらわれるのではなく、なにが世の中のためになるか、社会のためにできることを御社が自分たちで考え、取り組んでいく。これが大事と思います。
SDGsの取り組み。上場企業にとっては、社会的評価、消費者・投資家の評価につながるわけですが、対して中小零細企業にとっては、
- 社内コンプライアンスの向上
- 大手取引先への営業ツール
取り組めば取り組むほど、社員の意識改革につながる上、取引先からの信頼を得て取引チャンスが増える。それでいいと思います。
広報活動
御社が取り組んでいることをWEBサイトやSNS、パンフレットなどのツールを使い、世間のみなさんへ向けて発信していけばいい。
SDGsがどうとかこうとかではなく、会社を上げてなぜそれをやっているのか、誰のためにやっているのか。それを発信しましょう。SDGsがあるからやる、わけではないからね。
まとめ
以上、私井元が思う、中小零細企業の「SDGsに取り組む」ってこういうこと、を書いてみました。
中小零細企業にとってSDGsってなんのため?
結果的に「大手取引先から選ばれるために」という営業的視点がバリバリ入った回答になりました。
利害が絡んだ回答でなんだかやらしいわ~、と思われる人もいるかもしれません。でも、意識していない企業は今後取引が危うくなっていくんだから、結果利害が絡んで当たり前です。
そして、取り組むことにより、社員の意識改革、社内コンプライアンスの向上に必ずつながります。地道な取り組みになるから、すぐすぐ結果が出るものではありませんが、確実に変わると思う。みなさんぜひ取り組んでそれを広報活動に役立ててほしいな、と思います。
おまけ
弊工房が取り組んでいることもちょっと書いてみます。ペーパーレス化や作業の効率化で労働環境の改善など日常業務に関することはもちろんやっている。それに加え、力を入れていること。それは、
デザイン、イラストの著作権と使用料の意識改革
デザイナーやイラストレーターのれっきとした権利だし、技術へのリスペクト向上。収入にモロに直結する。これも立派な労働者の権利保護と思っている。
地方では残念ながら発注者や制作会社においてまだまだ理解が浅い。でも今後社会は著作権や使用料を意識していくようになっていくでしょう。そのとき弊工房はそこで頭ひとつ抜けておきたいな、と思っています。広島、岡山では井元に聞け、と言われるくらいにね。
弊工房の顧客のサイトや運営がいろいろリニューアルしましたので、ちょっとご紹介。
みなさん、よかったらサイトを見にいってみられてくださいね。