昨年に書いた著作権譲渡の記事。ここ1~2ヶ月で急にアクセスが爆増してきました。
世の中のイラストレーターさんのお役に立てているみたいで、かなりうれしいです。
先日の記事では県や市といった自治体の発注者を対象に書きましたが、実は同じ業界である広告代理店や制作会社のなかにも、あまり理解しておられない人がいるのも事実です。
「井元さんは細かいですね」
先日初めて問い合わせのあった制作会社の人に著作権の話をしたらこう言われました。
「え?これまで他のイラストレーターからはそんなこと言われたことないですよ。井元さんは細かいですねぇ」
これを聞いて、あぁ理解されとってないなぁ、と。
著作権は法律で定められていて、著作者が自分の利益を守るために主張するれっきとした権利です。この人がそんなこと言われたことがないのは、単にこれまで取引してきたイラストレーターが、主張していない、もしくは、知識を有していない、だけ。
実は東京、大阪の代理店さんやイラストレーターはこのあたりちゃんとしているのよ。「はい、じゃあ使用料はこれこれで」と見積り段階で先方からすんなり話をとおしてくれます。都心エリアでは当たり前のことでも、地方都市はまだまだ理解が進んでいないな、というのが現状です。
イラストの著作権がいまいちわからない人へ
著作権って、音楽、歌、曲で考えるとわかりやすい。
たとえば、あなたの好きなアーティストのCDを買ったとしよう。お金を払ったからといってCDに入っている曲をよそで勝手に使ったらダメだよね?YouTubeの自作動画で使ったり働いているお店でBGMとして流したり、これは違法です。企業CMもそうですね。勝手に使用して放送したらダメでしょう?
CDを買った場合の使用範囲はあくまで「個人で楽しむ」ここまでです。CMやBGMで使いたいときは別途アーティストや所属事務所、音楽サービスと契約して使用料を払う。ましてや、曲の著作権を譲渡して、とかはないですよね。だってそれはアーティストが作った曲。その権利を販売先に譲渡するなんて通常はありえません。ドラマの主題歌がTV局のものになったりはしないでしょう?
イラストも曲と一緒。なんら変わらない。
ある企業のポスターで描き下ろしたとしても、使用範囲はあくまでポスター。企業側がそれをポスター以外で勝手に使用することは違法です。ましてやそれを代理店や制作会社、企業側が、譲渡してくれ、は通常はない。なぜイラストだと急に発注者側に権限があるかのように指定してくるのか理解できない。
その契約書「著作権」の記述がありますか?損害賠償のリスク
先日ある代理店に事件が起きました。
昔発注したキャラクター。当時、作者であるイラストレーターと契約書を交わしておらず著作権についても明記なし。そして十数年後、イラストレーターが「勝手に使っている!」と思いだしたように主張してきて、裁判になりました。
実はそのイラストレーターからは「使っていいですよ」と口頭で了承してもらっていたそう。だけど著作権の勉強をされたのか第三者に教えてもらったのか、今になって急に主張されました。
さあ、大変です……。今さらクライアントに「このキャラクターは使えなくなりました」とは言えない。かといってそれまで使用してきた分を全部換算して支払うとなるととんでもない金額になってしまう。結果法廷で争うことになりました。
契約書がない → 著作権はイラストレーター
(契約書はないんでしょ?なら払わなくていいっしょ!?)と思ったあなた。甘い。
契約書がない → 著作権はイラストレーターにある
こういう解釈もできます。
契約の際に著作権について交わさなかったばかりに、のちのち損害賠償訴訟となる……お、おそろしい。
つまり発注者側にとって、イラストレーターが言わないから、まあいいか、は今後通用しなくなる、ということです。
著作権の話をすることを当たり前にしよう
今回は代理店、制作会社における著作権制度への理解について書いてみました。
今後は地方都市においても、契約時に著作権について話をするのが当たり前になる、そういうふうになっていくといいね。
最近リフォームをしました。
建築用の木材。岸田首相の愚策、ジャパン鎖国により、カナダ産木材はアメリカへ流れ、戦争でロシア産は入って来ず、結果価格が3倍に高騰。注文住宅も建売もこれからガンガン値段が上がります、と建築会社の人が言ってみえました。。
家を建てる(買う)なら木材の在庫のある今のうちみたいです……