心に残っている言葉はありますか?

僕が、一番最初に入社したのは、今から10年程前、愛知県の大手家具屋でした。そこで、接客とは何たるかを勉強させてもらったのですが、ある店長の朝礼の言葉で、今でも心に残っている言葉があります。

「落ちているゴミを拾わなくなると、いつの間にかそれがゴミだという認識がなくなる」

という言葉。

家具屋なので、売場の掃除は必須です。新商品の開梱や、売約済み商品の梱包作業を売場でする事が多いので、日常的に、結構小さなゴミが出ます。

入社したてのフレッシュな新人の頃は、梱包材の小さな端切れや糸くず、綿ボコリがカーペットに落ちていたら、すかさず拾っていたものです。

ところが、日が経つにつれ、仕事にも慣れ、忙しくなってくると、だんだんとそれが目に入っても拾わなくなる。

すると、拾わなきゃという罪悪感を持ちながらも無視していた糸くずが、いつの間にか「ゴミだという認識」がなくなり、不思議な事に、しまいには、落ちていても平気になってしまうのです。

寝ぼけ眼の朝礼で、初めてこの言葉を聞いた時は、何となしに頭に入った程度でしたが、数ヵ月後、店長とすれ違いさま「井元、そこの糸くず拾っとけよ」とゆわれ、ハッ!としたのを今も憶えています。

確かに、その時の僕には、その糸くずは「ゴミ」ではなかった。「あの時の言葉の意味はこれか・・・」と思うと同時に、慣れというものの怖さ・・・。

実はこれ、ゴミを例に例えていますが、何にでも当てはまるんですよね。

お客さんへの説明ひとつ、言葉使いひとつ、心配りひとつ。これくらいいっか、という気持ちと、仕事に対する心構えの慣れ。

やっかいなのが、自分で気付きにくいって事。

当時の店長のように口うるさく言ってくれたり、同僚が助言してくれた時はまだいいほう。これがお客さんからの「クレーム」という形でようやく目が覚めた!、なんて時は目も当てられません。

えらそうにこんな事を書いていますが、僕自身、知らない間に認識していないゴミがあるんじゃないかと、たまに考えます。初心忘れずですね。

話は戻り、その店長とは、実は、今も年賀状のやり取りをさせて頂いています。
店長は転職組で、家具屋に入る前は、名古屋の超大手のデパートマンだったそうで。

いや、やっぱりデパート、そのへんさすがです。

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