あるフリーランスのイラストレーターへの制作料金踏み倒し問題。
先日ネットで話題になっていて私も気にして読んでいました。
簡単にまとめますと、
1枚8千円のイラスト制作を受注
↓
総計20時間の作業で、修正を経て無事完成
↓
請求書を送るも入金がない
↓
おまけに音信が途絶える
というふうに完全に踏み倒されたトラブルのようでした。
悪いのは発注者
もちろん100%悪いのは発注者です。依頼しておいてトンズラとはどういうことじゃ。
でもね、残念ながら、イラストレーターさんにも注意すべきところがたくさんあったんだ。
世の中のフリーランスの人、ほんとにたくさんの人が被害に遭ってみえます。技術があって才能があって私から見て、いい画を描いてるなぁ、とワクワクしながら見ているイラストレーターさんたち。ちょっと商売上のノウハウがなかったがために、心ない人間にいいようにされる。私はそれを見てられません。
今後被害に遭う人がなくなるよう、ちょっと今日は何を注意すべきだったかを含めて、書きます。
ただ、このかたをディスろうってわけではないのであしからず。いっそイラストレーターを辞めよう、と思われたそうなので、つらかったろうなと思います。
素性がわからない発注者
通常、音信が途絶える、ということはなかなかないけど、それでも相手がわかっていれば追いかけることはできます。
でも今回の事件では追いかけることができなかったようです。なぜなら・・・
Twitterからの依頼で発注者の氏名、住所、電話番号など聞いていなかったから
素性のわからない相手から受注すると当然リスクはあります。これはどの業界でも一緒。唯一関係ないのは店頭での対面販売。小売店だと商品とお金をその場で替えるからリスクはありません。それでも店頭になくて商品取り寄せになると、名前と住所を書きますよね?これはキャンセル防止も含んでいます。
発注者の氏名、住所、電話番号を聞く。これをするだけでもこのトラブルは回避できた可能性が高い。
前金で支払ってもらう
初めてのお客には前金必須!これ大事だからね、もっかい
前金必須!
「前金のことを切り出すのはちょっと気がひける・・・」という声もありますけど、思っているほど発注者は気にしていませんよ。受けるほうが思い込んでいるだけ。
依頼する人は、あなたの画がステキ、この人に描いてもらいたい!、と思って依頼するわけです。「えー!前金かよ」とか言わないです、払ってくれます。逆に言えばここで渋るようなら断ったほうがいいでしょう。つまり前金は悪い発注者をふるいにかけるフィルターの役割になります。
この被害に遭ったイラストレーターさん、後々に「前金はこれからももらわない、発注側の立場になったら、私みたいな個人イラストレーターに前払いをするのは心配だろうから」と言ってみえました。
ここも違う。私みたいな個人イラストレーター、ではなくて、発注者からしたら「ステキな画を描くイラストレーター」だよ。ここでへりくだる必要はまったくない。あなたの画は素晴らしい!だから依頼がくるのだから。
それでもどうしても前金に抵抗がある場合、半金にすれば?リスクがお互い半々になります。
極論だけどね、支払いさえきちっとしてもらえれば、逆に素性はわからなくてもいいのよ。Twitterからの依頼でもなんでも。
1枚8,000円は安すぎる・・・
被害者のかた、ほんとすばらしい画を描かれてんですよ・・・。ちょっと半端ない腕前です。技術もすごいしクオリティーもすごい。
みなさんに画を紹介したいけど、さらし者みたいになっちゃうから、リンクできないのがほんと残念ですけど。
そんなかたがね、1枚8,000円・・・
安すぎるわーーー!!
制作に20時間かけたとのこと、時給たった400円じゃないのよ・・・。
駆け出しのイラストレーターが実績作りに安く請け負うことはあるでしょう。でもそれは技術も腕もまだまだだから、なわけで。
これくらいハイレベルな人が1枚8,000円みたいな価格設定はやっぱりおかしい、絶対こんな価格をつけてはいけない。見直してほしい。
イラストレーターの価値
↑でも書きましたけど、イラストレーターのイラストのクオリティーは、これまで長年積み上げてきた技術の積み重ねと、絵の勉強、努力により成り立っているものです。その高い技術に対してクライアントはお金を支払います。
だからそれ相応の価格設定にしなければいけない、と私は思っています。一般の人にその部分をちゃんと理解してもらわないといけないし、それがイラストレーターの価値、しいては業界に優れたイラストレーターを生み出すことにつながります。
これはイラストやデザインに携わる人たちが努力しないといけません。
だって、20時間かけて8,000円のお仕事、子どもたちが目指しますか?親が応援しますか?
ショッピングセンターでの即興似顔絵の価格
ゆめタウンとかでよく1枚2,000円で似顔絵を描いているのありますよね。私あれ反対なんです。
10分やそこらで似顔絵描けるって、ほんとすごいことなんですよ!技術がある証拠。一般的な似顔絵師でも短時間で描ける人はまれです。だからね、ゆめタウンで描いている人はめちゃくちゃ才能がある人たちなんです。
それを2,000円とかでやると、一般の人にはどう映るでしょう。
(あぁ似顔絵って簡単なのね、それくらいの金額なのね)という印象を持ちます。ちょっと画を描くのが上手い人なのね、くらい。
現に弊工房へ依頼してくれるお客さんのなかにも「1万5千円になります~」と伝えると「えーー!予想と桁がちがった!」といわれるときがあります。聞くとやっぱり基準はゆめタウンなのよ。
相応の高い価値をつけるべき!
低価格を善しとすると、イラストレーター自らが業界のイラストの価値を下げることになります。自分たちで自分の首をしめている。同業として、ほんとこれはやめてほしい。適正価格を破壊しています。本人も2,000円じゃ儲からんでしょ・・・。
前述の被害に遭ったイラストレーターさんにもこれは当てはまります。
ほんと声を大にして伝えたい。
あなたの絵はもっと相応の高い価値があります
と。
今後被害に遭う人がなくなるよう、気持ちを込めて書きました。イラストレーターのみなさん参考になれば幸いです。
【追記】2021年1月31日
続編を書きました!
令和元年度補正予算「小規模事業者持続化補助金」の受付が開始されましたね。
- 店舗の改装
- ホームページの作成・改良
- チラシ・カタログの作成
- 広告掲載
弊工房では2、3を請け負えますのでお声かけてくださいね。補助金事業、これまで何件かやっているんですよ、お役に立てるかと思います。
令和元年度補正予算小規模事業者持続化補助金<一般型>(全国商工会連合会)
令和元年度補正予算小規模事業者持続化補助金(日本商工会議所)