その発注にリスペクトはあるか。イラストレーターよ、これを読め、続編

ヘトヘトになった顔で一生懸命イラストを描いている男性イラストレーター グラフィックデザイン

昨年4月に書いたこの記事。

フリーランスのイラストレーターが制作料金を踏み倒されたツイートを見かけたのをきっかけに、当時書きました。ちょっと商売上のノウハウがなかったがために、心ない人間にいいようにされる。私ちょっと見ていられなくて。今後被害に遭う人がなくなるよう、何を注意すべきだったかをまとめた記事です。

自信満々で公開したのですが、鳴かず飛ばずのアクセス数で、あれ?全然需要がなかった(汗)、とがっくりしたのを覚えています。ところが、1年以上も経ったここ3ヶ月くらいから急激にアクセスが伸びてきました。な、なにごとだ!?

コロナ禍で支払いトラブルか?

アクセス解析を見ると、検索エンジンからの流入が多く、どうやら支払いトラブルや料金相場関連の検索でこの記事へ訪問してくれているよう。コロナ禍で案件がストップしたりキャンセルをくらったりしてのトラブルが増加しているんだろうか。

いずれにせよ需要が出てきた(笑)ということで、続編を書くことにしました。前回は「発注者の連絡先は聞けよ~」「前金はもらお~」「価格設定を考えよ~ぜ」的な内容でしたので、今度は別の切り口からイラストレーターが注意すべき点について書きます。

リスペクトのない発注は断れ

トラブルになるのはだいたい納品や支払いのときが多いと思います。でもその原因はですね、だいたい「受注するとき」に多い!結婚したら最初が肝心だぞ。これと一緒(と思う)。注文が入ったとき、まずこの言葉を思い浮かべてほしい。

その発注にあなたへのリスペクトはあるか

こんな依頼、心当たりない?

  1. 納期が○日なんで、と急いでお願いされる
  2. 見積もりも出していないのにGOがかかる
  3. 概算の金額提示だけでいつのまにか正式発注になっている
  4. 契約書を交わすのを後回しにされる

↑これ、ぜ~んぶあなたへのリスペクトはありません。ひとつずつ解説。

1、納期が○日なんで、と急いでお願いされる

納期はそもそもこっちが決めること。発注者はまず「これくらいの作業なんですが何日かかりますか?」と聞くのが常識。そっち都合の納期を一方的に提示してくるのは、9割がたよくない取引相手です。自分さえよけりゃいい、っていうね。

2、見積もりも出していないのにGOがかかる

金額提示していないのに大丈夫か?こわすぎる。納品後に「社長が、高い、と言っているんで・・・」と担当者がわけのわからないことを言ってきても、そもそも基とする見積もりさえないものだから、これはもめる。

3、概算の金額提示だけでいつのまにか正式発注になっている

細かい仕様が決まっていないまま、なぜか「制作のほうお願いします」とくる。(え?すすめていいのかなぁ)ととりかかるも、制作過程で次々と追加事項が増えたにもかかわらず「初回提示の(概算)価格だと思っていた」と言われて、その金額しか支払われない。

4、契約書を交わすのを後回しにされる

契約書

金額・使用範囲を提示して口約束だけで決まるも、納期が迫っていたり発注者が多忙で肝心の「契約書」を交わすのをうやむやに。のちのち、言った言わない、の水掛け論になり、最後は泣き寝入り。

なぜリスペクトがない案件はダメなのか

なぜあなたへのリスペクトがない発注はダメなのか。それは、発注者があなたのことを考えてくれていないから。全部自社都合なの。納期を勝手に指定してくるのもそうだし、正式な契約を結ばずに作業依頼してくるのも「相手はフリーランス。うちは株式会社だから言うこと聞くだろ」みたいなふざけた上から目線からきています。

こういう案件を受ければ、トラブルが起きるリスクがグンッと高くなる。

ちなみに弊工房だと、どんな大きい案件だろうが、1~4の場合速攻で断ります。見積もりすら出しませんキリッ。そりゃ売上は喉から手が出るほどほしい。けど、トラブルが起きたら全部がパアです。

大手だといくら?

私は職業柄いろんなイラストレーターさんとつながっているので、ときどき相談をもらいます。最近多いのが「大手企業から依頼がきたとき、料金っていくらで出せばいい?」

最初、言っている意味がよくわからなかった(ゴメン!)。よくよく聞いてみると、これまで中小零細企業との取引が主だったけど、大手の場合「高くしないといけない」と思っているみたいでした。たとえばイラスト1点5,000円のところ、大手には10,000円で、みたいな。

結論から言うと、大手も中小零細も

「制作費」は同じでいい

まったく同じ工数で制作する成果物を相手を見て値段を決めるなんて、なんかヤラしいわ~、と私は思うのですが、なぜかココを悩むイラストレーターが多い。なんでだろ(笑)

変わるのは「使用料」

変わるところは「使用料」ですね。イラストを折込や店頭配布のチラシで使う中小零細、かたや、TVCMや販促グッズで使う大手では、配布数量も広告範囲も雲泥の差があります。その場合必然的に大手は「使用料」が増えます。

料金表を作ろう

あとイラストレーターさんに多いのが、案件ごとに毎回価格を決めようとする。おそらくこういった定価管理みたいなのが苦手なのかなぁ?依頼がくるたびに、この作業量ならだいたい何時間くらいかかるだろうか・・・と毎回悩まれるそう。

こういう場合はあらかじめ料金表を作っておこう。

人物イラスト(1人あたり)数量金額
バストアップ1点○○円
全身1点○○円
背景込み1点○○円
料金表

そして自分の「時間給」も決めておこう。

服装や持ち物の指定があれば、その作業の「技術料+時間給換算」をプラスすればOK。これでだいたいの概算見積もりはすぐ出せる。納品までに追加事項があれば都度金額提示。このながれをきっちりやれば、発注者との料金トラブルはほぼないでしょう。

技術は上がる

その次によくある相談が「なんか自分のイラスト料金が安すぎるような・・・」という相談。それはですね、ズバリ!

あなたの技術の腕が上がったから

あなた自身がレベルアップしたからそう思うようになったんです。今現在の自分の腕と、技術的にまだまだだった駆け出しのころに設定した料金が合わなくなってきているんですね。

あたり前ですが、技術が上がれば定価は上げていいです。

(余談ですが弊工房の場合は、十数年前に比べると倍以上値上げしています。そのぶんもちろん技術レベルもアーップ)

まとめ

「リスペクトのない発注は断る」
「料金表を作る」

これを気にするだけでも料金トラブルは減ります。

世の中のフリーランスのイラストレーターのみなさん。こういったトラブルに巻き込まれないようにこの記事が少しでもお仕事のお役に立てれば幸いです。

前回の記事をまだ読んでいない人は、併せてこっちも読んでみてね。

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