令和5年10月に文部科学省が通知した「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた緊急対策等について」で不登校児童生徒数が過去最高となったことが明らかになったのはみなさんごぞんじのとおり。
令和4年度の国立、公立、私立の小・中学校の不登校児童生徒数が約29万9千件(過去最多)、うち学校内外で相談を受けていない児童生徒数が約11万4千人(過去最多)、うち90日以上欠席している児童生徒数が約5万9千人(過去最多)、小・中・高・特別支援学校におけるいじめの認知件数が約68万2千件(過去最多)、うち重大事態の発生件数が923件(過去最多)等の結果が明らかになりました。
令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた緊急対策等について(文部科学省)
その数、なんと29万人……。多いなぁ。
その原因として、文部科学省は、新型コロナウイルス感染症による人々の意識や生活様式の変化等に伴う影響が教育現場にも及んだ結果、不安や悩みを相談できない子どもたちが増えたのではないか、とあった。
そして、
- 不登校の児童生徒全ての学びの場の確保
- 心の小さなSOSの早期発見
- いじめの早期発見の強化
など、学校に行きたくても行かれない児童への緊急対策が明記してある。
そうだね。生活の不安や悩み、いじめなどで登校できない子どもたちに、学校や地域が手を差し伸べて取り組むことは大事と思う。
でもね、私が思うに、ひとつ抜け落ちていると思うの……。
29万人全員が「不登校」という前提で書いてあるんだけども、おそらくこの中には、自らの意志で「登校しなくていい」と判断した生徒や保護者がけっこう含まれているんじゃないかと。学校って行く必要ないよね……?と気づいてしまった『非登校』の生徒や保護者がかなりいると思うの。
文部科学省のこの通知にはそういった児童については一文も触れていないのよ。
6年も通わせていたらダメになる
先日NHKである番組が放送されていた。YouTubeで視聴ができる。
※他のWEBサイトでの埋め込み再生は無効となっていたので、YouTubeへ移動して閲覧してください↓
【日本の教育に対する失望?】インターナショナルスクールに入学する日本人が増加 開校ラッシュの裏側に迫る【かんさい熱視線】| NHK(YouTube)
保護者であるお父さんが「教壇から一方的に先生が発する言葉の授業スタイルだけでは子どもたちには届いていないのではないか」と話していて(1:02~)、それをきっかけにわが子をインターナショナルスクールに通わせることにした、と経緯を話すシーンがあった。
もう、私ね、
共感!
このお父さんと酒でも酌み交わして、教育について語り合いたいくらい!
なぜなら、私も同じような経験があるのよ。
娘が小学生1年生のとき、2学期でいきなり算数につまづいてしまった。
授業についていけず「あたし、さんすう、にがてなんよねぇ……」と本人は思い込んでしまい、あやうく数字への苦手意識を一生引きずるところだった。
以前ブログにも書き殴った。
入学してほんの数か月で「あたし、さんすう、にがてなんよねぇ……」と思わせるなんて……。
おまんとこの授業システム、どうなっとんじゃい!
誤解がないように先に言っとくけどね、先生の教え方が悪い、という意味ではないのよ。教職員は学習指導要領に則って教鞭をとっておられるだけだから、先生をディスろうとはさらさら思っていないの。
そう!私が激おこぷんぷん丸なのはね、
学校の授業システム、今のままでいいのか!?
ってこと。
一日何時間も拘束されたうえ、苦手科目を作らされる授業システム……。あかん!こんなところに6年も通わせていたらうちの子ダメになるわ……。
昭和の香りが漂う40年前となにひとつ変わっていない学校の授業システムに衝撃を受けてしまった。もう、愕然としたのよ。タイムスリップしたのかと思ったわ。
不登校29万人のなかには、出演したお父さんや私と同じように、学校の授業システムに失望した人はけっこうな割合いたんじゃないかと思う。
可視化されてしまった学校への失望感
きっかけは、新型コロナウイルス感染症で休校になった影響は間違いないと思うが、皮肉にも、家庭学習でできる生徒はできてしまった。日ごろから授業システムに不満は感じてはいたものの、登校しないという決断までは至らなかった生徒や保護者にとって、はっきりと可視化されてしまったのだ……。
そして同時に、教育への失望も言語化されてしまった……。
ちなみに、娘は小学2年生になった今も昭和の授業システムからは落ちこぼれている。だが、算数は超得意。なぜなら、
「私」が毎日算数を教えているから。学校ではなく「私」がね。
『非登校』の場合には見当外れの対策
不登校の増加に対して、文部科学省もただ手をこまねいているわけではないようだ。フリースクールなどいろんな取組みを始めている。
「学びの多様化学校」が子どもの成長をそっと支えていた…記者が見た「東京・高尾山学園」の取り組み(東京新聞)
学校に行きたくても行けない。
学校にいきづらい。
そんな子どもたちにとってはいい取り組みだと思う。私もあることが原因で中学時代の3分の1は登校できなかった経験があるので、苦しんでいる子どもたちの気持ちは痛いほどよくわかる。親に悪い、とか、学校に行けない自分はこれからどうなるのだろうか、と当時ずいぶん悩んだ。
あのときフリースクールという選択肢があれば、少しは救われたように思う。
しか~し!不登校ではなく『非登校』の子どもたちには、この対策はまったく当てはまらない。むしろ的外れな対応になる。
とにかく学校へ行こう、の違和感
私の友人の中学生のお子さんは学校に行っていない。文部科学省が発表した29万人に入っている子だ。
だが、彼女は行けないのではなく、自分の意志で行っていない。いわゆる不登校ではなく『非登校』に近い。
そこへスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーなる名刺を持った人たちが定期的に家庭訪問をしてきて、みなが口をそろえてこう語りかけるのだそうな。
「一度学校へ行ってみよう!」
「過ごしやすいように対策をするから一回登校してみよう!」
とにかく学校へ、の違和感満載……。
本人が学校に行かない、行く必要がない、という判断をしているのにもかかわらず、とにかく学校へ行こう、と説得を試みる。
的外れすぎる……。学校側の都合でしかない。まあ、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの人たちは登校させてナンボなんだろうけども。
いやだ、行きたくないという子をなぜ引っ張り出す?
行く必要がない、と思う場所へ、なぜ引っ張り出す?
みなさん、ものすごい違和感を感じませんか?私はまったく理解できない。
さらに彼女は自宅でしっかり勉強しているからテストの点はよく、成績も上位とのこと。
じゃあ、学校、いらないzy……ボソッ。
ますます学校の授業システムの課題が浮き彫りになってしまっている構図だ。
さらに驚くのは、毎日夕方になると一度職員室へ顔を出すのだそうだ。「なんで?」と思って理由を尋ねると、出席日数が高校受験の合否に影響があるから、とのこと。出席扱いにしてもらうべく、カタチだけ職員室へ行かなくてはならない……。
おいおい、そのシステムもなんなんだ……。誰もおかしいと思わないのか。学校っていったい。
ワタクシ、それを聞いたとき、開いた口が開いたままだったアルよ……。
子どもには個人差がある
学校へ通える子になろう。
授業についていけるようにがんばろう。
オトナたちはいろいろ工夫をして促そうとするわけだが、私は逆にたずねてみたい。
なぜ全員同じようにしないといけないのだろう。
なぜ学校に合わせないといけないのだろう。
変わるべくは「子ども」のほうではない、ことに気づいていないのかな。それともうすうす気づいてはいるけど、わからないふりをしているのだろうか。
学校は変われるか
じゃあ、学校が変われるのか。
これは難しい問題。
みなさん、学校は変われると思いますか?
私は無理だと思う。
だってさ、小学校は家から近いところに通うから選べないでしょ?中学校もほぼ同じでしょ?
小学校も中学校も変わる必要がないのよ。だまっていても地域の子どもたちが次々と入学してくるんだからさ。
高校や大学になると、教育方針だったり校内設備だったり優秀な教師・教授をそろえて差別化して、生徒から選ばれるように努力をする。
小学校や中学校はそんな選ばれるための努力は必要ないもんねぇ。
生徒・保護者に選択肢を
では、どうすればいいのだろうか。
学校の授業システムをディスリまくってしまったけど、対案なくしてディスらない、が私のポリシーだ。
ということで、顧客視点も含めて改善策を考えてみたぞぉ。
そもそも、小学校、中学校の選択肢がなさすぎる。他に行くところがない。まずは選択肢を増やすためにこのように変えたらどうだろう。
小学校、中学校よ!
自由競争だぁーー!
冒頭の動画のインターナショナルスクールなど従来の学校とはまったく違うアプローチの教育ができる学習環境がどんどん認可され、増えていってほしい。民間の教育施設がいいです。寺小屋的な個々の生徒にアプローチするような学習環境もいいね。あとオンライン環境に強いスクールもあっていい。
それが地域に1校でも2校でも少しずつ増えてくれば、おのずと変わってくる。いい教育方針のスクールが増えれば、保護者がわが子に合った学校を選択することができる!
必然的に従来の学校も知恵を絞るしかなくなってくる。
そう、選ばれないと生き残れないのだ。
子どもには個人差がある
みんな一番大事なことを忘れている。
生徒それぞれ、子どもには個人差がある!
従来のように毎日登校してみんなで学習するスタイルを選ぶ生徒もいるだろう。
主体性を重視した探求型の授業が合う生徒もいるだろう。
集団での学習が苦手だからと個別学習を選ぶ生徒もいるだろう。
コミュニケーションが苦手だからと自宅学習を選ぶ生徒もいるだろう。
選択肢が、従来の学校だけ、はもう現代の教育には合っていない。自由競争こそが、イノベーションを起こし、しいては学校の存在価値を上げるのだ。
この案、みなさん、どうでしょう?
この声はどこの誰に届いたらいいんだ?やっぱり文部科学省だよね?
盛山大臣、よろしくお願いします。